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HDD つかの間の奇跡

■ 更新履歴
2002/11/15 新規登録
2002/11/19 『被験者からの喜びの声(笑)』を追加

 これは物理的に壊れたハードディスクを復旧させるまでの、愛と感動の物語である…。


 友達がWindowsを使っていたら、ディスクから異音がしてブルースクリーン。

 とりあえずは、祈る気持ちで再起動…。
 カシャコン、カシャコン、カシャコン♪
 ダメだ。ドライブ自体が逝ってしまったようだ…。

 なんでも、中には重要なデータが保管されているので、なんとしても取り出したい…とのこと。

 仮に保障期間中にディスクがクラッシュしても、補償してもらえるのはハードウェアだけ。
 一般的には、中身の救出は不可能である。

 ごく一部に物理的復旧を試みてくれるサービスが存在するが、どれも超高価である。
 ハードディスクの造り上、クリーンルームや精度の高い技術が必要になるからだ。

 今回救出したいデータは800MBほどだが、大体以下のような金額になる。
  \320,000 \430,000 \440,000

 しかーし、金額からして企業相手なのは一目瞭然。ぺーぺーが払える金額ではない

 個人は以下の選択肢から1つを選ぶことになる。

  1. あきらめる=捨てる
  2. 頑張る
  3. 金を払う

 一般には『1.あきらめる=捨てる』を選択する。自分だって幾度も選択してきた道だ。
 先に示した金額にあるように、『3.金を払う』は論外だ。

 しかし、今回は重要なデータされているというので、『2.頑張る』の道を歩むことにした。
 もっとも何を頑張るのかがよくわからないのだが…。

 あ、そうそう…。これ以降は『1.あきらめる=捨てる』を超えての作業となるため、当然保証なんかはきかないので注意。
 捨てられたと同義のハードウェアを使うわけだから、PC本体に深刻なダメージを与える可能性もある。
 ゴミ箱から拾ってきたディスクを、無理やり使ってみる…という感覚で考えて欲しい。

治るかもしれませんね…。奇跡でも起きれば…ですけど。
でも、起きないから名雪^H^H奇跡…って言うんです。

 ひとまず、ディスクの蓋を開けてみる…。

 ドライブは、一般人にはかなり開けにくい構造になっている。特に3.5インチドライブは手ごわいのだが、今回は2.5インチ(ノート用)なので楽勝。
 ただしネジが特殊だ。それなりの店に行けば専用のドライバーを入手できるが、マイナスドライバーやペンチ類で乗り切ることもできる。ただし、二度と締まらないネジ頭に変形するかもしれないが…。

 まぁここは『頑張る』の精神で、マイナスドライバーで乗り切ることにした。
 ちなみに、これが特殊なネジ。無理やり回したので、酷いことになってしまった。

ネジ

 周辺に配置された6個と、シールで隠れた1個を外せば…

ドライブの開き

 このように簡単に開く。

 ハードディスクは湿気やホコリを極度に嫌う。
 ヘッドは空気の流れによってディスク上を浮上するわけだが、その浮上量は数ミクロンだ。こんなところにホコリでもあろうものなら、クラッシュしてしまうのは目に見えている。
 ちなみにスケールを換えて表現すると、ジャンボジェット機が地上数センチを、マッハ0.8で飛行するようなもの…だそうだ。

 さて、開いたのは良いが…どうする?

 今回のポイントは『カシャコン、カシャコン、カシャコン♪』である。
 あきらかに、大きな物理的動作によるものであるとわかる。
 ハードディスクドライブの中で、物理的動作をする場所は2箇所。
 ディスクの回転と、アクセスアーム(ヘッド)の移動だ。

 カシャコンという音が、ディスクの回転であるとは思えない。直感的にもアクセスアームが原因であると想像できる。

ヘッドとアーム部分

 これが、そのアクセスアーム部分だ。白っぽいプラスチック部分は、ヘッドの退避エリアだ。

 まずは、指で動かしてみる。ディスクを知る者からすれば、悲鳴をあげそうな暴挙だ。(ギャー!)
 アクセスアームの根元側に触れ、ヘッドをディスク上に移動する。

 …パツ。ヘッドがディスクに接触した。(ギャー!!)
 ちょっとあせって(何を今更)、退避エリアに戻す…。
 …バキ。また、あり得ない音がした。何だろう?(ギャー!!!)

 まぁ、これでアクセスアームに衝撃を与えることができた。良い方向に働いて、ショック療法になることを願う。

 蓋を閉めるのが面倒なので、そのままベイに格納。(ギャー!)
 普通に動作するPCのセカンドディスクとして装着し、PCを起動。

 POST…通過。Windowsの起動画面に移行する。
 セカンドディスクのアクセスランプが度々点滅する。故障に対するリトライか? それとも認識しているのか?
 Windowsにログオンし、エクスプローラを開く。

       :
       :
       :
       :
       :

 ドライブ数が増えている! ちゃんと認識された!
 急いで、重要なデータをサルベージ。正常な起動ドライブに退避する。

 5分後、800MBのデータを無事に退避し、満足感に浸る自分…。(^^;
 好奇心ついでに、他のパーティションにもアクセスしてみた。

 次の瞬間…
 カシャコン、カシャコン、カシャコン♪

 つかの間の奇跡は、こうして幕を閉じた。

起きるから、奇跡…って言うんだよ。

■ 被験者からの喜びの声(笑)

 以下は、データの復旧に成功した方から寄せられた感想です。(脅迫して書かせたけど、文章は本人の直筆…だ)

被験者 Y.T氏
対象 ノート用ハードディスク(2.5inch) 30GB
救出量 800MB
復旧率 90%
コメント  まさかディスククラッシュが自分の身に起ころうとは夢にも思っていませんでした。
 しかし現実は『リブートしてもOSは起動せず異音は止まない』状態。
 作りかけの資料や数々のツール、データなどのことを考えるとめまいがしましたが、高額の料金など払えるわけもなくどうすることもできません。
 まめにバックアップを取っていなかった自分を呪い、あきらめることにしました。

 そんな時です。Takにそそのかされた(!)のは。
 「だめもとで開けてみよう」
 何を言っているんだ、この人は。
 ショッキングな発言でしたが、すっかりあきらめていた私はディスクを捨てたつもりでTakに預けることにしました。
 しかし、落胆は数十分後に驚きと喜びに変わりました。
 あられもない姿にされたディスクが動いている!
 しかもまともに認識されている!!
 こうして私はTakの暴挙(?)のおかげで、データの大部分をサルベージすることができました。

 数分後ディスクは息絶えてしまいましたが、まさに奇跡としか言い様がありません。
 本当に感謝しています!
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